はじめに
平成14 年第1回市議会定例会の開催にあたり、議員各位におかれましては、新年度の予算案をはじめとする重要な諸案件のご審議のため、ご参集をいただき厚くお礼を申し上げます。
また、このたび、議案審議に先立ちまして、正副議長選挙をはじめ、議会関係の各役職の選任等を滞りなく終了されましたことは、ご同慶にたえない次第でございます。
どうか今後とも、市民のため、また、市政進展のため、ご尽力くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
それでは、この機会に、私が今後の市政に臨む所信の一端、予算編成方針、さらには主要施策等について申し述べ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力をお願いする次第です。
昨年の後半、アメリカの同時多発テロ事件やそれに続く戦力の行使、依然として止まぬ地域紛争など、全世界をその渦に巻き込んだ、相次ぐ暗澹(あんたん)たる出来
事に震撼させられましたことは、記憶に新しいところであります。そして一方、国内に目を向けて見ると、人々は長引く経済不況の中で、深刻な生活危機と将来への不安を抱えるとともに、社会全体が漠とした閉塞感に覆われております。加えて、大阪の池田小学校事件等、異常とも言える犯罪や、「児童虐待」、「家庭内暴力」などが頻発する現状に直面するとき、「平和」と「人権」の尊さ、日々の生活における「安寧と安全」の重みを痛感するとともに、さらには人間としての生き方そのものが、改めて問われる大きな警鐘となっております。
このような今、私は、「平和な市民生活」、「人権尊重の市民生活」、そして「安全な市民生活」を最も大切な理念として捉え、それらを基本とする市政の運営に取り組んでまいりますことを、まずもって申し上げるものであります。
さて、政府におきましては、小泉内閣のもと、「骨太の方針」を定め、聖域なき構造改革に取り組んでおります。この構造改革の基本方針とするところは、新しい成長産業や商品が不断に登場する経済の絶えない動き、すなわち「創造的破壊」を通して、効率性の低い部門から効率性や社会的ニーズの高い成長部門へ人と資源を移動することにあり、日本の経済再生を目指す上で果敢な取り組みとして評価するところであります。
このような状況のもと、地方自治体においては、国との関係を見直し、自らの判断で行政サービスや地域づくりを展開する、「自立した行政」を実現することが求められ、そのためには、行政改革を進め、強固な財政基盤を確立していかなければなりません。
しかし一方で、強固な財政基盤の確立の名のもとで、効率性や経済性の追求を中心に捉えていくことは、「住民福祉の増進を図る」という自治体行政の基本に基づいた「公共体としてのサービス」の低下を招いてしまう危険性があるものと考えております。今、我が戸田市において大切なことは、市民との協働により、将来のビジョンを的確に見定め、サービスなどの取捨選択を市民本位という合理性のもとで行い、必要なものに対しては手厚く対応していくことであると考えております。
したがいまして、現下の財政状況などあらゆることが厳しい局面にありますが、市民生活を守る重大な責務に深く思いをいたし、敢えて積極的な新年度予算の編成をさせていただいたところであります。
私は、平成10年に市長に就任して以来、今日まで、一貫して生活者起点の行政を実現するため、公平・公正・公開の政治理念のもと、市民とのパートナーシップを標榜し、五体を地に抛(なげうつ)覚悟で市政運営に取り組んでまいりました。
この4年間、市民及び議員各位のご支援、ご協力をいただき、「情報公開制度」の実施をはじめとして、様々な分野で行政の透明化を図り、併せまして、ワークショップの開催など市民参加を推進してまいりました。また、行政計画については、第3次総合振興計画をはじめ、環境基本計画など新しい時代の流れに適応した各分野別計画の策定をいたし、今後の戸田市の揺るぎのない将来像を定めることができました。
さらに、新曽土地区画整理事業の推進、懸案であった環境空間の積極的な利活用を図るとともに、子育て支援や高齢者福祉などの各種施策の実施、ISO14001の取得をはじめとする環境対策など、喫緊の課題への的確なる対応と将来を先取りする事業を展開しているところであります。
今後も、市民が誇れるまち、市民が主役のやさしさの行き届いたまちを実現するため、市民のご支持と、議員の皆様のお力添えをいただき、全力で市政運営に取り組んでまいります。
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